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小さい頃から身長が高く、高校生にもなると180cm(自称)にまで達した。
さらに肩幅が広く、胸板が厚い。
ここまでくるとある弊害が生まれる。
それは、着る服がないこと。
普通の服屋に行ってもサイズがない。
基本トップスはサイズが2Lなのだが、最高でもLしかない。
気に入った服10に対してサイズが合うのが1しかない。
これだから服選びに苦労し、ファションに無頓着になる。
これを打開するために、新たな服屋をみつけだした。
名前は「フォーエル」、サイズが2L以上の服をとり揃えた店だ。
割と家から近く、今まで見つけれなかったことを後悔する。
早速行ってみるとなんと夢のよう、大きいサイズの服が所狭しと並べられている。
これぞまさしく理想郷!
おれの長年の悩みは解決、思う存分好きな服を吟味できる!
気に入ったチェック柄のシャツを手に取る。
これはなんだか良さそうだ、と思うがなんかでかい。
サイズを見てみると5L。
でかい。
こんなもん着れるかと次の服を手にとってみると、でかい。
やたらでかい。
サイズを見てみると8L。
なんだここは。
あたりを見渡すとほとんどが4L以上。
店の名前に恥じないラインナップ。
ちょうどいいサイズの2Lなんかほとんどない。
気に入った服10に対してちょうどいいのが1しかない。
涙ながらに店を後にした。
理想郷なんて、最初から存在しなかったんだ。
高校生になってすぐに軽音楽同好会に入部した。
一年生のほとんどが初心者だが中には経験者もいた。
その内の一人にいつから始めたのか聞くと、「たった半年前だよ」と照れながら話してくれた。
その半年間は受験シーズンだったせいか、練習する時間は少なかっただろう、技術はあまり初心者と大差なかった。
それでも自分たちより一足先に楽器に触れていることだけでも憧れた。
みんなが歩く道の上で、少しだけ前にいるのが少しだけ羨ましかった。
強制力がなく自ら動かないとついていけない同好会でも、そいつは学校祭にでたり、校外のライヴに出たりと盛んに活動していた。
それでも、メンバーがやめたりバンドが解散したりという困難が度々そいつのことを襲っていた。
むかし見たアニメの中のバンドのように、上手くはいかないか。
ん?
あれ?
何か見落としてる気がする。
「むかし見たアニメ」とは?
軽音楽同好会を舞台にした「けいおん!」だろう。
あれは面白かった。
少しご都合主義があったけれど、
商業的青春に憧れを抱くには十二分にできていた。
いつ頃見たんだっけ?
ああ、確か中学生の時だ。
あれを見終わってすぐ受験勉強が忙しくなったから、確か高校入学の半年前だ。
あれ?
その時期はあいつが楽器を始めた時期とかぶるぞ?
確か入学の半年前だったよな?
もしかして…
「けいおん!」に影響されたのか?
影響されて楽器を買ったのか?
そうなればわざわざ忙しくなる受験シーズンに始めたのも納得がいく。
しかし、商業的青春に憧れる中高生が「けいおん!」の大ヒットに触発され後先考えずに楽器を買ってしまう、という社会現象の一端をあいつが担ってるとは思いもよらなかった!
あいつはクールで、ひたむきで、少しだけ前を行くやつだと思ってたのに、京都アニメーションと音楽業界の策略に踊らされてるとは…
ショックを隠しきれないな…
まあ、いいのかな。
高校生になっても続けてるんだから、「けいおん!」は只のきっかけなんだろう。
もともと音楽はよく聞くらしいし。
それにおれが楽器始めたきっかけも「けいおん!」だしな。
今日は彼岸なので朝早くから家族で墓参りをした後、
せっかく揃ったということで昼食に回転寿司に行くことになった。
弟が午後すぐに塾があるので、十一時の開店にあわせて店に入る。
まだ開いたばかりなのでレーンにネタはあまり乗ってないので、殺風景な様子をごまかすように色々なものが回っていた。それはメニューの宣伝のプレートだったり、ワサビの袋を詰めた容器だったり。
突然、寿司屋には見慣れぬものが流れてきた。
なんと佐川急便だ。
もちろん本物ではない。
宅配物を小脇に抱え、佐川のユニフォームを着たお兄さん。
それをデフォルメした皿に乗る程度の小さなフィギィアだ。
一体どういうことだ・・・
寿司と何の関係があるんだ・・・
その後は佐川急便で頭がいっぱいでロクに食べることが出来なかった。
家族との団欒はいち運送業者によって壊されてしまった。