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駒澤大学は仏教の寺院の学寮が起源であり、仏教学部があったり、座禅が必修であったりする。その大学を出た人が親父の友達にいる。
小さいころ、俺はその人を「パパ」とよんでいた。これがことあるごとにネタにされていた。
この度大学に進学することが決まったので、そのパパが祝賀会を開いてくれた。
メンバーは家族四人とパパとその奥さん。計六人。
一軒目はパパの行きつけの焼き鳥屋さん。
炭火を使っていて美味しく、エゾシカのステーキなどメニューも豊富だった。
二軒目は締めのラーメン屋。昔ながらのあっさりした中華そばを出している。
入ると気のいい店長が出迎えてくれた。
言葉はなぜかカタコトだった。
その店長がおしぼりを配っているアルバイトの青年のことを紹介した。
「彼は今、駒大の三年ダヨ!」
これに反応したのもちろんパパ。
大喜びしながら先輩風を吹かし始める。
さらに酔ってるせいもあって、何かあると「駒大!駒大!」と呼びつけてその青年に絡み始める。祝賀会だからおれたちがメインのはずなのに、駒大ネタで盛り上がる。
話は駒大の必修科目の座禅にまで進む。
何でも肩を叩く竹製の棒は、あまり痛くないらしい。
振り下ろしてしまえばとても痛いらしいが、当てた瞬間に手を引けば大丈夫らしい。
「剣道も竹刀を振り切らず、当てたときにバウンドさせるデショ!」
店長が補足する。なるほど。
経験者としてはわかりやすい。
「カラテも同じダヨ!」
店長の言葉に熱が帯びてくる。
「カラテも手を突き出した瞬間に戻すんダヨ!」
実演してみせる。
キレがいい。
もしや店長は空手経験者か?
その疑問は瞬時に解決する。
店長は足を一歩も動かさず、手だけで演武を始めた。
突き出された手を素早く元の場所に戻したかと思えば間髪入れずに頭の上に動かし、構えをつくる。そこからは目では追えず、手が空を切る残像だけを眺めていた。
最後にビシッと構えて締めると、割れんばかり拍手が起きる。
すげえ!
店長すげえ!
しかも「若い人がいるからハリキッちゃっタヨ。」なんて言って照れてる!
旨いラーメンと熱い店長。なんていい店なんだ。
帰り際も興奮が冷め止まないせいか、おれに激励の言葉をこれでもかと投げかける。
なかなか離してくれないのでパパになだめられてた。
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